*きままなひとりごと*

ゆるりとすきなことを呟いています。

Hey!ポール!を見てきた話

山本亮太くんと野澤祐樹くんが出演するということで、山田ジャパンさんの「Hey!ポール!」を観劇しました。
観終わった後の感想は、「どうしてみんな亮ちゃんに暗い過去を背負わせたがるのか?」ですが、大体周りもみんな同じ認識だったので、間違ってなかったなと思いました(笑)
(でもなんとなく分かるんだよなぁ。亮ちゃんって明るいし楽しそうなんだけど、踊ってるところみたりするとなんか隠されたものがありそうな気がしちゃう)

基本的にあまりネタバレを見ずに行くので、ポールって名前の外国の人の役かと割と直前まで思ってました(笑)
普通に日本人の役でしたね……しかも現代劇だった……勝手な思い込みは良くないですね。
今回の山本くんの役は、ポールダンスを見られるカフェバー「東京センターポール」に集まる常連客の一人。
”ポール”を軸に集まった人たちの話で、まあポールダンスを見られるということもあって軽い下ネタや性の話が多いです。
でも基本は「人間の二面性」とかそういう内面的なこととか、人間って結局思い込みや勝手に作り上げた一般の意見を盾に傲慢に生きる人たちなんだな、とか。
そういうことをちょっと思いました。

誰にでも二面性はあって隠しているもう一つの顔があるというのは、割と良く使われる題材だとは思うんですけど、
その中でもこの「東京センターポール」に集まる人たちは個性豊かで、いろいろな理由でここに集まってダンサーと泡沫の恋に溺れている。
偽りの仮面を被りながらの関係性は、少し虚しくもあるけれど、それが人間の一面なんだみたいな切り取り方はすごく面白いなと思った。
結局皆「過去」を捨てきれなくて、昔の関係性にすがったり、過去の自分に勝つためとか見返すためとかそんな理由であの場所に集まってくる。
その描き方が面白いというか、関係性の暴露の仕方とかもちょっと面白かった。
最終的には全部原さんと繋がってるじゃん!wな流れはちょっと笑ってしまった。

個人的にはわたしは下ネタ(今回で言うと登り棒のくだり)が絡む話が苦手なのと、主人公に共感できないと受けいれられないので、好みかと言われるとNOなんですけど。
(あとこの作品に出てくる男たちが軒並み苦手なので、無理だった。野澤くん演じる宮本くんは別として(笑))
最後の最後の谷口あかりさんと、山本くんのやりとりは嫌いじゃなかった。
谷口あかりさん、昨年の福田くんの「DAYZERO」では福田くんの奥さんを演じていて、今年の「ソーホー・シンダーズ」では充くんのフィアンセで林くんの恋敵という役をやられていて、どちらも観劇していて感情表現が素敵な女優さんだなあと思っていたので、楽しみだったんですよね。
終盤までは、クズ男に引っかかっちゃった系かーーー思い余って刺し違えたりするのかなと思ってたんですけど、ちょっと違った。
最後の最後で山本くんに別れを告げるシーンのダンスと台詞と表情は、目を奪われた。
あーこの感情の爆発みたいなところが、この作品の一番なのかなあと思ったりしました。
ずっと傍にいたのに本当の意味では傍にいなかった相手の死を見届けるって、どんな気持ちなんだろう。とか。
難しいことはよくわからないけれど、ただ綺麗だなとその時は思いました。
あとね、山本くんの、「これ以上いたら3割が4割に、そのうちに5割になっちゃう」って感じの台詞はずるいなって思った。
要は傍にいたら自分が見棄てた奥さんと子供よりも、みのり(谷口さん)に自分の気持ちが移っちゃうから、だから自分から離れるんだよな。でもそれはとても残酷なやり方で。
残された方の気持ちは全く考えないんだなって。もしかしたらわかってて残したのかもしれないけど。
結局山本くんと同じように「過去」に囚われて、最終的には同じ世界に行こうとする谷口さんのラストシーンは、客席が寒かったからだけじゃなくてとても寒気がして良かった。
昔見た町田くんの舞台「Hearts」って舞台も、最後にちょっとぞっとするラストシーンが待っているんだけど、それに似たものがあって、この終わり方は好きだった。
とはいえ、本当山本くんの演じた役が嫌いだし(笑)男たちもちょっと嫌なんだけど、そう「見える」ように演じきった役者さんたちはすごいなあと思う舞台でした。
何故か過去を背負わされる山本くんは割とよく見るので(笑)新鮮さがあるかといえばそうではなかったとわたしは思いましたが、切り口としては新しかったし、いまの山本くんだから演じきれたんだろうなあという感じで見に行って良かったと思いました。
うん、無理やり詰め込んでよかった(笑)

さて野澤くんですが、今回はゲイの役ということで(しかもとてもオープン)あっけらかんとしているし、飄々としていてとても良いキャラクターでした。
バーテンだからエプロンだし背中空きのベストだし、腕まくりだし、カクテル作ってくれるし、自分で作って飲んじゃうし、なんかもうとても良い野澤祐樹を見れました(笑)
しかも踊ると思っていなかったので…足長なのが目立つダンスでありがとうございます…という感じです。
彼もゲイだから二面性があるとおもいきや、仮面はかぶっていなくて、素を見せてみんなと付き合っている。
遅刻するのも「(そっちが俺に)慣れてください」と言い切る態度は、仮面を被って過去に囚われている他の登場人物とは少し違って見えて良いスパイスだったのではないかなと思います。
それでも酔っ払った客に「ホモと喋ってないで~」とからかわれると酒瓶片手に殴りに行こうとする一面もあったりして。
あまりなよっとした態度でもなく、かといって男らしすぎずの中間くらいの丁度良い感じのラフさみたいなのは、野澤くんの元々持っている雰囲気とも相まってとても良かったなあと。
個人的には野澤くんがニヤニヤ笑いながら腕組んでる姿って、昔からよく見てて好きだったので、宮本くん(野澤くんの役)もそうでちょっと楽しかったです。

山本くんも野澤くんも、山田ジャパンの関係者の皆様や他の出演者の皆様にも可愛がっていただいたみたいで、良いチームワークのある舞台だったのではないかなあと思います。
カテコでそんな雰囲気が見られてよかったです。
皆様お疲れ様でした。



追記:
なんでへいた(山本くん)が嫌いかっていうと、単純に偉そうな男が嫌いなだけです(笑)
結婚する前は彼女のすごく大事にしてたのに、うわべだけだったんかーい!というか、仕事で追いつめられるとああなるんだなあみたいな典型的な男のパターン。
でもかなこ(娘)には割とまあ優しいんだよな、頭なでたりみたいな。
しかし女は男に従って当然、みたいな思想が嫌で、まあ言い出した手前止まらなくなっちゃったパターンなんだろうけど、こういう主人公の描き方が嫌いなんだよなあ…。
でもそのくずな感じがまた人間らしいというのもあって、主人公にすえるには良かったんだとは思うけどさ。
過去に縛られ続ける男の末路みたいなのは、描きやすいよなあとか。
でもとりあえず好きじゃないんだよな(笑)そういう「嫌な感じ」を上手く描いているとは思うし、実際亮ちゃんの表現としても上手かったと思うんだけど。わたしの好みの話ですきっと。

劇団によって男性はすごく魅力的なのに女性のキャラクターがちょっと、の所もあるし、その逆もあるので、面白いなあと色々な舞台を見ていると思います。
もちろん、語れるほど見てはいないですけどね。なんとなくわたしの感じた限りでは、です。